誰もが安心して住み続けられるまちづくり

なんでも相談会だより

2019/03/06 東京ほくと

相談者に寄り添い安心して話せる場つくる

王子生協病院 医療ソーシャルワーカー
瀬尾真奈美

 私たち医療ソーシャルワーカーは、第1回「なんでも相談会」から相談員として協力しています。医療相談室には外来や入院を通じて心配事をお持ちの方が相談に訪れますが、病院にかかる必要がない方や経済的に病院にかかれない方など医療相談室では把握できない方もいます。「なんでも相談会」は、気軽に立ち寄り、多様な生活問題を各分野の専門家に相談できるのが魅力のひとつです。「なんでも相談会」をきっかけに医療機関につながり、本人の望む生活を取り戻せた事例を紹介します。

医療機関とつながる
 某日の「なんでも相談会」にAさんの友人が相談に来ました。街なかで知り合ったAさんはお金も住居もなく、知人達が金銭的に支援し泊め、時には路上で生活の面倒をみている状況でした。徐々に両足のむくみがひどくなり、体調も悪そうだが、無保険のため病院に行けなくて困っていると相談を受けました。「なんでも相談会」の相談員が無保険であってもまずは王子生協病院に来院するように勧めてほしいと助言しました。その後、友人から「本人が受診を希望している」と連絡が入り、30年ぶりに医療機関とつながりました。

生活の立て直し
 Aさんは内臓、皮膚、脳血管疾患を抱えていました。意思決定やコミュニケーションは可能であり、治療に専念するためと生活の建て直しを目的に生活保護の申請を行いました。生活保護の面接時に今までの生活環境や生活歴などお聞きしました。
中卒で働いていたが都会に憧れて20代半ばで上京、派遣や日雇い労働で生計を立てていたが、60代で路上生活になりました。入院療養で体調は回復し、生活保護の受給も決定したところで退院となりました。住所不定のため、いったん無料低額宿泊所(第2種社会福祉事業・宿泊と食事提供)で生活することになり、退院後も定期的に王子生協病院に通院していました。

40年ぶりの帰郷
 ある日、生活保護担当者から「Aさんの親族が見つかった。親族はAさんの行方が分からず、生きていて本当に良かったと言っている」と連絡が来ました。その後、Aさん・親族・行政で話し合い、40年ぶりに笑顔で帰郷することが出来ました。

 「なんでも相談会」では必ず解決できるわけではありませんが、心の拠り所やきっかけとなることで相談者自らの力を引き出すお手伝いが出来るように思います。相談員と聞くと難しそうですが、相談者に寄り添い、受容し、安心して話せる雰囲気をつくることができれば皆が誰かの相談員になれるのかもしれません。

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