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大震災で得た学びを今後の災害医療へ

2017/03/08 東京ほくと

「災害看護の基本」研修会報告

 王子生協病院会議室で開かれた「災害看護の基本」研修会報告


王子生協病院会議室で開かれた「災害看護の基本」研修会報告

 東日本大震災から6年になります。2011年3月11日、建て替え前の王子生協病院の病棟では患者さんを豊川小学校の校庭に避難させ、生協北診療所上階にあるはなみずきでは入所されている方をおぶって階段を降りるなど、それぞれがそれぞれの場所で、最善と思われる行動を起こしていました。
 首都直下型地震が予測される現在、きちんとしたマニュアルを持ち、医療機関としての役割を果たさなければなりません。「災害看護の基本」、看護師向けの研修会があり、参加した乾いつ子、橋本明子両看護師を講師に学習会を行いました。

災害看護の役割

 国内で大災害が発生した場合、看護職は何らかの形で災害看護活動に従事することが求められます。そのために災害看護の基本知識をもち、看護活動に参加する勇気と家族の協力が得られるようにしておくことが必要です。
 被災者に「何とかしてあげたい」という気持ちが先行してしまいますが、もともとセルフケアができて生活していた人なので、自立する力を奪うことのないような関わり方が大事です。心のケアでは、被災者がしゃべりたいときに聞くのであって、無理にほじくりかえすものではありません。看護の対象は負傷者だけでなく、避難所や車の中で生活する人、被災者でありながら働き続ける行政職員を忘れてはなりません。
 災害看護は医療機関の受け入れ能力を上回る中で展開され、中長期的に避難生活が持続する被災者のケアを行うことになります。東京都は都内の病院の役割を区分しており、王子生協病院は災害医療支援病院になります。災害時は負傷者であふれてしまうことになり、このときにどう対応するかマニュアルづくりと訓練が必要です。(「災害看護の基本」研修会報告より)

事業所の災害対策は

 東京ほくと医療生協の「災害マニュアル」は現在準備中ですが、先行して取り組みを始めている事業所があります。訪問看護ステーションは事務所にヘルメットや水、食料の備蓄品を備え、マニュアルづくりを始めています。3・11の体験をもとに、車移動が多い訪問看護ステーションたんぽぽはガソリンの確保のこと、北足立生協診療所では、メールでの連絡のとり方などを決めています。
 王子生協病院では、マニュアルづくりを開始し、入院患者さんと勤務職員180人が3日間過ごせる水と食料の備蓄をしています。病院玄関の下には防火水槽があり、近隣の火事にも対応できます。また、健康祭りで披露している災害時の炊き出し大釜を備えています。自家発電機は最大で19時間対応できます。病院が新しくなって設備が整いました。トリアージ訓練や他法人の見学なども行っており、マニュアルや手順書づくり、統一した訓練などこれからの課題です。

 

荒川生協診療所看護師長
乾いつ子さん
 東日本大震災と熊本大震災に現地に看護支援に入りました。その体験もふまえて話してくれました。

訪問看護ステーションたんぽぽ所長
橋本明子さん
 東日本大震災の当日は、足立区宮城地域の患者さん宅を訪問中、清拭しているときのバケツの水があふれ、このままサービスを続けていいか、避難できなくなったらどうしようかと迷ったと言います。

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