誰もが安心して住み続けられるまちづくり

患者激増でも良い治療を提供 ~コロナ患者受け入れ病棟の今~①

2021/09/15 東京ほくと
体調管理と感染対策は継続を

王子生協病院 事務次長 伊藤里美


◆中等症・軽症患者専用病床で受け入れ
新型コロナウイルス感染症が過去最大規模で流行する最中の8月、患者の受け入れをしている5階病棟の状況を聞きました。
王子生協病院の急性期病棟である5階病棟では、昨年4月から専用区域を設けて、新型コロナウイルス感染症の患者(以下「コロナ患者」)の入院治療を行っています。高齢者が半分程度で、「軽症」から「軽めの中等症Ⅱ」までの方が中心です。第2波(昨年7~8月)のときに一時は7床まで増床したものの、その後は3床に減らしてもしばしば空きがある落ち着いた状況でした。
東京では第4波(今年4~5月)が第3波(昨年12~今年2月)より小さく収まり、高齢者中心に一般住民へのワクチン接種が進む中、入院治療が必要なほど具合の悪い方はさほど増えないことを、5階病棟スタッフ一同期待していました。しかし、デルタ株の出現で状況が一変しました。

◆受け入れ先がなく重症患者の転院困難
デルタ株による第5波で、コロナ患者用の病室を12床まで増やしました。それでも、医師が「入院させないと命の危険がある」と判断する全員を入院させることができなくなりました。入院するコロナ患者のほとんどを、ワクチンを一度も打てていない40~60代が占めるようになり、「重症に近い中等症Ⅱ」の方も増えました。
「重症」目前まで病状が悪化した方は、これまでさらに高度な治療ができる医療機関へ転送していました。ところが受け入れ先が見つからないことが多くなり、やむなく当院でできる範囲での治療を続ける状況です。それでもできるだけ良い治療を受けていただきたいと考え、重症・重症目前の方用の薬や医療機器(ネーザルハイフロー)を、新たに導入しました。

◆全職員が院内感染対策を再確認
王子生協病院の職員は、特段の事情のある場合を除いて、全員がワクチン接種を済ませました。マスク、ゴーグルなど目の保護、手の消毒、休憩室の換気、食事時は一言も発さない、など感染対策を続けています。7~8月には、全職員が院内感染対策のテストを受けました。
さらにいざというときに備え、他病棟職員にも新型コロナウイルス感染症の対応を広めるために、看護師間では院内留学(他病棟の看護師が、5階病棟で一時的に働いて対応を学ぶ)、医師間では治療法の勉強会を行っています。

◆ワクチン効果を実感手作り防護具励みに
5階病棟担当医で、院内感染対策担当医でもある打矢春花医師がこう話します。「医療崩壊は深刻で、集中医療の受けられる病院は、重症のコロナ患者でいっぱい。コロナとは全く関係のない重病、重傷の方も治療が受けられなくなってきています。」「ワクチンの効果は絶大。デルタ株ではワクチンを打っていてもかかることはあります。しかし、高齢でも持病があっても命の危険はない程度で済むことがほとんどなので、未接種の方は今すぐ予約してください」

コロナ患者対応では、ときに多くのスタッフを必要とする

《②に続く》

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