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日本唯一の検診を実施~ウクライナ難民を支えて~

2022/07/06 東京ほくと
日本唯一の検診を実施~ウクライナ難民を支えて~
千葉健生病院総師長 林 真紀

 千葉健生病院は、90床の病院と併設する診療所と健診センターで構成されています。千葉市でも大きくないこの病院の健診センターでは今、日本で唯一ウクライナ避難民の健康診断をしています。
 今年4月に突然、東京入国管理局より千葉健生病院事務長に「ウクライナ避難民の健康診断希望者がいた場合に受診可能か」と問い合わせがありました。そのあと難民支援センターより連絡が入り、一般の内科健診と小児の口腔内を含む健診を、4月26日から受けることになりました。千葉健生病院付属まくはり診療所健康管理センター(以下、まく健)に白羽の矢が立った理由は不明です。

ウクライナに平和を!


 一日4~6人の健診で、通訳を通しても文化の違いから健康診断そのものの理解が得られず、一般的な診察・治療とは違うことに戸惑います。ひとつずつの行動にかなりの時間が必要です。
 戦時下でつらい思いをしてきた方たちのため、音や閉鎖空間に恐怖を感じる人もいました。通常よりもさらに丁寧にゆっくりと健診を行います。何日続けても、健診の依頼はまだまだ続きます。
 ウクライナ避難民の何人くらいが健診を受けたいと思っているのか、全体像が全く見えません。慢性疾患を持った人や、急性期の病気になる方もいます 。そこでも言葉や文化の違いから、診察にかなりの時間を費やします。
 5~6月は一般の健診数が増える月で、ウクライナ人の健診も数を増やすことができません。それならばと「東京からわざわざ千葉へ健診に来ているのではないか」「東京民医連も紹介できる」と難民支援センターへ電話をかけました。
 そこでわかったのは、政府を通じて入国してくるウクライナ避難民の健診希望者は「まく健」でのみ健診を受けているということでした。その理由は、日本に着いてすぐの仮の住居が千葉市にあり、 そこで1~2か月を過ごしたのちに、各自治体が準備した住居へと転居しているからです。担当者からは「まく健で受け止めきれないということであれば、千葉市で健診をしてくれるところを紹介して欲しい」と言われました。
 当院の職員は少し疲れが出始めていたときでしたが 、日本で「まく健」だけが健診を受けている事実を知り「よし、がんばろう」と奮起したのでした。その結果、6月末には90人を超える健診を受け、上お得意様となりつつあります。

 ウクライナの戦禍に際して「職員と平和を考える機会にしたい」という思いと、コロナ禍でがんばり続けている職員に慰労の意味を込めて、岡田朝志院長からウクライナカラーのサブレが配られました。職員はウクライナへの想いをひまわりのカードに書き、タペストリーにしました。
 ちょうどそのころ、まったく予期していなかったウクライナの健診が始まり、健診で来られたウクライナの方の目に留まり、とても喜ばれました。青い空と黄色い麦の穂のうつくしいウクライナに一日も早く平和が訪れ、再び住み慣れた土地で家族と共に過ごせることを心から祈ります。

ウクライナサブレとひまわりのタペストリー

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