【医療と介護の現場】患者さんの気持ちを大事に「断酒」「節酒」
2018/03/14 王子生協病院
年末年始に忘年会新年会とお酒を飲む機会が多かったと思います。私は、アルコールで健康を害している、または影響が出そうな方とアルコールについてお話をすることがあります。
そこで紹介するのは「酒は百(ひゃく)薬(やく)の長(ちょう)とはいえど万(よろず)の病(やまい)は酒こそより起(おこ)れ」という教科書にもでてくる吉田兼好の『徒然草』の中の一文です。七百年もの昔から諸般の病気は酒が原因になっていると経験的に分かっていたということは驚きです。身体を害するほどアルコールを飲んでしまう人はアルコールが必要なので、なかなかやめることができません。依存症の分野では、最近、少しでも害の少ない飲み方になれば良いという考え方が出てきています。以前は、飲んで底をつかないとやめられないという話もありましたが、私が研修を受けに行った6年前には、「底つきを待ってたら死んじゃうよ」と言われ、とにかく、できることをやっていくことが大事なのだと教わりました。
私自身が自分が好きな食べ物をやめられるかと言われれば、確かに難しく、アルコールをやめられない患者さんの気持ちも分かる気がします。ただ健康を害するほどの飲酒になっている場合には、断酒、節酒が必要です。断酒してすっかりお酒をやめている患者さんは、むしろすっきりしているように思います。患者さん自身がお酒をやめるためのモチベーションを見つけることが出来るように一緒に考えていけるといいなと思い、悩みながら毎回面談を行っています。
(王子生協病院医療ソーシャルワーカー・遠藤賀子)