【王子生協病院 緩和ケア病棟】地域公開講座を開催
王子生協病院で緩和ケア病棟が開設して4年目、病院159床のうち25床が緩和ケア病床です。医師、看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、理学療法士など職種を超えてチームで関わっています。
開設後から、地域公開講座を行っており、今年は10月12日、「地域が求める緩和ケアを考える~わたしが緩和ケア病棟で働く理由~」と題して開催しました。緩和ケア病棟の石河絢(あや)子(こ)医師、上野恵美子看護師長のお話で、組合員と職員合わせて30人が参加しました。
これまでの講座では「緩和ケアとは何か?、どのようなケアなのか?」を学びました。では、働く職員は「緩和ケアをどう捉え、どうケアを提供しようとしているのでしょうか?そこで働き続けているのは何故でしょうか?」。
そのことをお話しすることで「より深い緩和ケア」を理解していただけると考えました。
遺された時間を精一杯生きた家族
石河医師のお話は、医師として10年目に訪問診療の際に出会ったご遺族のお話でした。未告知の時代で奥さんが告知を受け、患者であるご主人へは未告知で治療が始まりました。しかし、「再発」を機にご主人への告知がなされ、2人で同じ空間で多くの涙をながし、翌日から2人でたたかいが始まりました。いつか終わりは来ましたが、ご主人は残された時間を精一杯生き、それを支えたご家族に多くのものを遺されたことを伺いました。
この石河医師の経験は、今も沢山の患者さんやご家族と一緒にたたかうチームの医師としていかされています。
患者さんの笑顔をとりもどす看護
上野看護師長のお話は、長い看護師経験から、「看護でいかに患者さん、ご家族に笑顔がやってくるか」を求めて働き続けているということでした。笑顔を阻害する痛みを全人的に捉えることが話されました。また、緩和ケアは、緩和ケア病棟には限らず、看護師であるならばどこの環境でも提供できるという内容でした。根底には、東京ほくと医療生協の看護師像があるのです。
最後に、田直子病棟医長から、王子生協病院緩和ケア病棟は地域住民の方に使っていただくために開設したこと、様々な疑問、意見をいただき、より安心した緩和ケア病棟を目指していきます、と話されました。