北区なんでも相談会 心ひらくまで寄りそって チラシにぎりしめ たどりつく
北区、王子駅前三角公園で、簡易テントを張り、「いのち・くらし・雇用」の問題を中心に無料の〝なんでも相談会〟に取り組んでいます。
この相談会は、北区社会保障推進協議会がたちあげ、実行委員会形式で行っています。相談員は東京ほくと医療生協の医師、看護師、ケアマネジャー、医療ソーシャルワーカー、そして北法律事務所の弁護士、北区生活と健康を守る会の相談員らが毎回出席しています。20人以上の相談員と要員が参加することも特徴です。
◆日常生活に潜む困りごと
内容では、孤立や貧困など深刻な相談が増えています。認知症の家族の相談、相談に来た本人が認知症、自殺願望、国保料が払えない、都営住宅に入れない、家賃の滞納、外国人労働者の就活、10年前の冤(えん)罪(ざい)、職場でのパワハラ被害など様々です。最初は何を言いたいのかわからない相談だと思っていても、じっくり話すなかで、家庭内暴力であることがわかりました。
以前の相談会のチラシをずっと持っていて、肉体労働にいよいよ耐えかねる状況になって相談に訪れた60代男性(派遣労働者)の事例では、カプセルホテルに4年在住、産業医も常駐する大企業で働いているが無保険状態である事実。こういった労働者がどれぐらいいるのかという疑問がわいてきます。
認知症の疑いのある孤独な老人からは寂しさを訴える声。てんかん持ちの10代の娘を抱え、自らも障がい者である母子家庭の母親からの相談。また、うつ病の家族がいる中で、長男が失業し清掃のパート労働を年齢制限で退職することになる親からの相談など。地域でおこっている格差貧困社会の実態の深刻さが伝わってきます。
◆心開くまでの時間を大切に
〝高すぎて払えない健康保険料、医療・介護でお困りのこと、ブラック企業による残業代の不払い・リストラや派遣切り、生活保護相談、その他借金・相続・法律相談など、いのちとくらしに関わる生活相談に無料で応じます〟というチラシを近隣の団地に配布しています。まかれたチラシを握りしめてくる派遣労働者、何ヵ月もしてかかってくる相談の電話はこういったチラシを見てのことです。
主体者は相談員だけではありません。テントを張って、医師や弁護士を集めても、相談を受けにくる方は、いきなりテントには入って来られません。相談に来ても、ぐるぐるテントの廻りを廻って逡巡する方が多くみられます。バス停の近くで悩んでいた30代女性派遣労働者は、声掛けに応じて相談に来ました。
あるとき、公園内で大きな声を出している人がいて雰囲気が悪くなりましたが、次からは公園内に音楽を流すことで、公園内の雰囲気を変え、声を荒げる人はいなくなりました。
◆専門家集団の力に支えられて
なんでも相談会を開始して2年が経過しました。この相談会を支える仲間が広がっています。次回は9月27日に行います。
組織部 森松伸治