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医療と介護の現場

2021/05/12 東京ほくと
面会制限あっても入院に満足 ~職員の努力が信頼に~

コロナ禍において、当たり前にできていた「面会」の尊さを感じます。面会制限のある中で退院支援を行うと、ご家族から「本人に会えていないから、様子が分からない」という言葉を耳にすることが多くありました。病院ではできる限りご家族に病状などの連絡を入れていても、会えないという現実を埋めることは難しいと感じました。
がんで闘病していたAさんは、比較的自立していたため、ご家族の関わりは少なめでした。闘病から1年の昨年、他院からの紹介で当院の緩和ケア外来につながり、緩和ケア病棟に入院となりました。
あまり家族が関わっていなかったこともあり、ご家族はそれまでの生活が把握できておらず、「急に大変になってしまって」と不安な様子でした。緩和ケア病棟に入院し1か月後、院内で最期を迎えました。
その後、ご家族が来院して声をかけてくれました。「親父はこの病院で過ごせて幸せだったと思います。面会が十分にできなくても、職員の方と話ができました。本当であれば面会に来て色々と話したかった。でも面会ができなかったことに悔いはありません」と感謝を話されました。
患者さんやご家族は面会ができないながらも、できる限りの対応をしてくれる病院に信頼を寄せ、不安を和らげるのだと感じました。自由に面会ができるまでは時間がかかりますが、その間は専門職で協力し、少しでも患者さんやご家族が安心して療養できるように努めていきたいと思います。

(医療ソーシャルワーカー・瀬尾真奈美)