情報発信やつながり大事に
コロナに負けるな!
情報発信やつながり大事に ~感染対策と診療の狭間で~
北足立生協診療所 所長 渡邉隆将
2020年2月のダイヤモンド・プリンセス号での出来事から、丸2年半が経過しました。この間、診療所で新型コロナウイルスに関してどう向き合ってきたか、振り返ってみます。
①新型コロナウイルス感染症発生初期
この感染症が国内に広がり始めたとき、私たちの施設ではPCR検査を行うこともできず、診察時に身を守る感染防護具も不足して、診察の指針もないという状況でした。そのような中、地域の方々がビニール袋でガウンを作ってくれたり、手作りのマスクを寄贈してくれたりして、非常に勇気づけられたことを覚えています。
②診療所でPCR検査ができるようになった時期
徐々に体制が整い、診療所ではまず唾液を使ったPCR検査ができるようになりました。そしてマスクやガウンなどの感染防護具が十分量支給されるようになり、十分な感染対策をした上で診察に臨む体制が各事業所で確立されていきました。
ただし「十分な感染対策」というのは、長袖のガウン(蒸れてしまい夏場は非常に暑い
)、帽子、高機能マスク(ウイルスを通しにくいが息苦しい)を着用するということで、特に夏場は脱水・熱中症に注意が必要なほどでした。
防護具で感染対策をして診察
③コロナワクチン接種が始まり、ウィズコロナへ
コロナ禍に、地域の方々から多くの要望が寄せられました。例えば「かぜ症状のときにはコロナの検査もしてほしい」「診療所でワクチンを受けたい」「診療所に行くのが心配なので、オンラインで診療をしてほしい」といったコロナ禍ゆえの要望です。
一方で「コロナ禍であってもきちんと健康診断を受けたい」「かぜ以外の診療もしっかりと対応してほしい」という要望もありました。限られた人員・場所の中で少しずつ対応しつつ、新しいコミュニケーション手段としてLINEでワクチンの情報発信をしています。そして地域で孤立しがちになった、小さな赤ちゃんのいる家庭をつなぐとりくみを対面にオンラインを併用して開催するなど、多面的にとりくみ続けています。
④コロナ禍を通して
コロナ禍を経験して、システムとしてのかかりつけ医の重要性を強く感じています。発熱症状の際は、地域のかかりつけ医にまず相談することが求められるようになりました。
しかし、特に若い方を中心にかかりつけ医を持たず受診先が見つからない方たちも多くいました。普段から慢性の病気で定期的に診療所に通院している方だけでなく、地域に住むすべての方がかかりつけ医として家庭医を持っておくような制度は、今後の日本の方向性として重要であると思います。