誰もが安心して住み続けられるまちづくり

戦後75年、戦時を語り継ぐために私たちができることは

2020/08/26 東京ほくと

理事長あいさつ

 

今泉貴雄

 

毎年この時期には豪雨による災害がニュースになります。今年も九州を中心に災害が発生しています。復旧へ向けて支援がおこなわれますが、新型コロナウイルスへの感染防御の点で、他県からのボランティア受け入れを控えるなどの対応がされています。

 

1日あたりのコロナ都内感染者が過去最多に

新型コロナウイルス感染症は、日本では1月から患者さんが認められていたので、もう半年になります。緊急事態宣言が出されて患者数が減少に転じましたが、宣言解除後に再び増加。今では東京を中心に、宣言前より1日あたりの患者数が増えている状況です。王子生協病院では一時、感染症の入院患者さんがゼロになっていましたが、再び行政からの依頼もあり、入院を受け入れています。引き続き感染防御に努めて対応していきます。

 

元の生活には戻れない新しい生活様式で暮らす

感染症が出た当初、夏になれば感染者は減り、通常の生活に戻れるのでは、と予想されていました。しかし、いつになれば感染症への恐怖がなくなるのか、まだまだ先が見えない状況と言わざるを得ません。皆さんもこの間、三密を避けての新たな生活様式を歩みだしているかとは思いますが、しばらくこの状況は続くものと考えて腹をくくることが必要です。この半年は感染症の話題で終始しておりましたので、少し話題をかえます。

 

戦後生まれが8割、語り部が年々少なく

原爆による被爆、そして終戦後75年になります。今年は原水禁世界大会や終戦の式典が感染症のため例年とは違うかたちとなりますが、あらためて平和を考え、平和な世の中であり続けるべく祈りたいと思います。昨年のデータでは、戦前戦中生まれの日本の人口割合は16.4%だそうです。幼児期の記憶は残りにくいので、戦争の記憶がある人はさらに少なくなります。また、中には認知症などの病気を患っている方もいるでしょうから、戦争体験を語れる方はさらに減ることとなります。年々語り部が少なくなることは残念です。

 

貴重な戦争体験を直接聴く機会は限られる

もう10年から20年前になるでしょうか。訪問診療で患者さんから戦争体験を聞く機会がありました。戦争のことに話題がおよぶと言葉がとぎれない、そんな状況でした。実際に戦争に行った経験や、疎開、空襲体験などの話をきくこともありました。しかし現在では、訪問診療の場面で戦時のお話を聞ける機会が減っています。戦争体験者が亡くなる、認知症で話ができないなど、改めて時間の経過を感じて愕然としてしまいます。このような戦前戦中世代の方からの貴重な経験を聞く機会が、残された時間が限られている中、どのように得ていくべきか。私たちの役割として考えていくことが求められます。

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