核共有は核戦争を導く
核共有は核戦争を導く
〜被爆者から見たウクライナ情勢〜
日本原水爆被害者協議会
事務局次長 濱住治郎
ロシアがウクライナに侵略して、早くも5か月が過ぎ、いまだに戦争状態が続いています。核戦争を引き起こしかねない状況は、世界に衝撃を与えました。
侵略開始翌日の2月25日、日本被団協は木戸季市事務局長談話を発表。「ロシアの侵攻は、被爆者の願いを踏みにじり、人類を危険にさらす行為です。即刻、やめることを求めます」と抗議しました。
一方、ロシアの核に対してヨーロッパに核が置かれており、自民党の政治家から「核共有」論が持ち出されました。それに関連して、維新の会が「核に関する議論をタブー視することなく、非核三原則を見直し、米国の持つ核戦力の共有に関する議論を開始する」ことを求める「提言」を政府に提出すると伝えられました。
日本被団協は3月2日に「日本国民を核戦争に導き、命を奪い国土を廃墟と化す危険な『提言』です」と撤回を求める声明を出しました。3月3日、維新の会は「非核三原則の見直し」は削除しましたが「核共有」議論を求める提言を林芳正外相あてに提出しました。
3月4日には、日本被団協の代表やサーロー節子さんら在外被爆者との連名で「プーチン大統領が個人的野望を捨て、人間の心を取り戻し、即刻ウクライナへの侵略をやめるよう心から求めます」との共同声明を出しました。3月18日には、ロシア大使館前で日本被団協事務局役員などがスタンディング抗議行動を行いました。
日本被団協は66年前の結成宣言で、被爆者は「自らを救うとともに、私たちの体験を通して人類の危機を救おうという決意」を誓い、今日まで核兵器のない世界を実現するために生きてきました。「原爆は人間として死ぬことも、人間らしく生きることも許しません。核兵器はもともと『絶滅』だけを目的にした狂気の兵器です。人間として認めることのできない絶対悪の兵器なのです」(『原爆被害の基本要求』)
「ふたたび被爆者をつくるな」という被爆者の訴えが、世界市民の願いが、核兵器禁止条約を生み出しました。条約を活かし核戦争と核兵器を無くすことが、核兵器から人類をまもる唯一確かな道です。今こそ「ノーモア・ウォー、ノーモア・ヒバクシャ」
ウクライナ人道支援募金にご協力を
東京ほくと医療生協が加盟する「全日本民主医療機関連合会」では、ウクライナ市民へ食料・水・医薬品などの人道支援募金にとりくんでいます。この募金は、ウクライナ医療支援で活動中のピースウィンズジャパン、国連児童基金(ユニセフ)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)へ届け、ウクライナの人々に直接届く支援に充てます。
ご協力くださる方は、お近くの支部の役員や組織部職員までご連絡ください。
(組織部‥3913―9100)