機関誌 東京ほくと コラム「注射器」
2023/12/06 東京ほくと
タモリが昨年末のテレビ番組「徹子の部屋」で日本の現状を「新しい戦前」と発言したと注目を集めています。ちょうど日本の安全保障政策の大転換となる「安保三文書」が閣議決定された直後のことでもあり、いっそう注目を集めたようです
▼ある知識人はこれに関して「日本はすでに新しい戦中になっているのかもしれない」と座談会で発言しています。この二人の発言は、このところの日本の軍事強化への前のめり姿勢に対する危機感を背景にしているのは間違いないでしょう
▼私たちは「危機感」を共有しているでしょうか。耐えがたい物価高に四苦八苦し、ガソリンの相次ぐ値上げに悲鳴を上げ、社会保障の切り捨てにじわじわと首を締められています。一方で、来年度の国家予算では防衛費が7・7兆円となり、ついに文科省予算と逆転し、中小企業対策費は減少しています
▼なぜこんな事態になっているのか、国民生活を犠牲にして防衛費が伸びるのはなぜか。私たちは思いをめぐらせて、よく考えなければならないと思うのです。岸田政権が強引に進めるこの道が本当に正しいのか、想像力を働かせる必要があることを、先に紹介したタモリ発言は改めて思い起こさせてくれます。串田孫一という知識人が、晩年老いゆく中でさまざまなニュースに怒りを募らせ、テレビの画面にスリッパを投げつけていたことを思い出しました。(小)
▼ある知識人はこれに関して「日本はすでに新しい戦中になっているのかもしれない」と座談会で発言しています。この二人の発言は、このところの日本の軍事強化への前のめり姿勢に対する危機感を背景にしているのは間違いないでしょう
▼私たちは「危機感」を共有しているでしょうか。耐えがたい物価高に四苦八苦し、ガソリンの相次ぐ値上げに悲鳴を上げ、社会保障の切り捨てにじわじわと首を締められています。一方で、来年度の国家予算では防衛費が7・7兆円となり、ついに文科省予算と逆転し、中小企業対策費は減少しています
▼なぜこんな事態になっているのか、国民生活を犠牲にして防衛費が伸びるのはなぜか。私たちは思いをめぐらせて、よく考えなければならないと思うのです。岸田政権が強引に進めるこの道が本当に正しいのか、想像力を働かせる必要があることを、先に紹介したタモリ発言は改めて思い起こさせてくれます。串田孫一という知識人が、晩年老いゆく中でさまざまなニュースに怒りを募らせ、テレビの画面にスリッパを投げつけていたことを思い出しました。(小)