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病気の話 熱中症について

2016/07/13 東京ほくと

 熱中症とは、暑く湿度の高い気候に体が適応できないことで生じる様々な症状の総称です。真夏に起こるイメージですが、体が暑さに慣れない6月頃から多くなります。急に暑くなったときは要注意です。特に、乳幼児や高齢者、健康に問題がある人、運動している人、屋外で働いている人、キッチンで火を使う人は起こしやすい傾向があります。

兆候は?

 めまいや顔のほてり、筋肉痛や筋肉のけいれん、さらに進むと体のだるさや吐き気、頭痛、ふいてもふいても汗がでる、もしくは汗をかかなくなるといった症状があります。重症になると、体温が高くなる、呼びかけに反応しない、まっすぐ歩けなくなる、といった症状がでてきます。重症の場合は命にかかわることがありますので、すぐに受診するか救急車を呼びましょう。

対処法

 比較的軽症の場合や重症で病院受診までの間の対処法で重要なのは、①体を冷やす、②水分補給です。
 具体的には、①体を冷やす=冷たい水をスプレーする、扇風機の前に座る、日陰で冷房のかかっている場所へ移動する、重ね着しているときは服を脱ぐ、氷嚢や保冷剤などで首やわきの下、太ももの付け根を冷やす。②水分補給=スポーツドリンクなどの水分を飲む。カフェインが入った飲み物(コーヒーや緑茶など)やお酒はやめましょう。

予防が大切

 暑さや湿度の高い環境を避けることが大切ですが、もし避けることができない場合には、以下に気をつけてください。①激しい運動は避け、休憩をとる。②水やスポーツドリンクのような水分を十分にとる。ただし一気に大量に摂取するのはやめましょう。水分摂取の目安としては、運動前に250~500ml、運動中は1時間ごと500~1000ml、または10~5分ごとに200mlの補給が必要になります。激しいスポーツや屋外の仕事で大量の汗をかく人は塩分補給をするか、スポーツドリンクなどの塩分を含んだ水分をとりましょう。高血圧や心不全など塩分を控えた方がよい疾患をお持ちの方は主治医に相談してみてください。③朝方など暑くなる前の早めの時刻に活動するようにする。④服装はゆるめの軽い装いにする。⑤冷房のついてない車内は非常に暑くなるので避ける。
 以上の点に注意して熱中症にならずに夏を乗り切りましょう。

 王子生協病院 医師 樋口 万里子