誰もが安心して住み続けられるまちづくり

緩和ケアだより 地域で暮らせるように「在宅支援がもたらす効果」

2016/11/23 東京ほくと

 緩和ケア病棟というと、一般的に最期の場所のようなイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。実は、緩和ケア病棟とは、その名前のとおり、痛みのコントロールをするための病棟です。したがって、一時期入院して、痛みのコントロールを行い、その後、自宅に戻られる方も多くいらっしゃいます。
 病を得て生活していく中で、みなさんは療養場所として、どこが理想だと思われるでしょうか?「自宅がいいけどそうはいかないだろう」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。一人暮らしや日中一人になってしまう方でも、サービスを使いながら自宅で過ごされる方もいらっしゃいます。往診や訪問看護、あるいはヘルパーを利用しながら、一人でも家族がいても、自宅で療養することがある程度可能です。
 常に看護師さんがいる病棟で過ごすことは安心ですが、住み慣れた自宅で過ごすことは他には代えがたい魅力があるようです。自宅に戻る方には、医師、看護師、リハビリ、ソーシャルワーカー等のスタッフが自宅に帰るための準備をお手伝いします。
 自分のペースで生活したり、家族の一員であるペットと好きなだけ一緒に過ごしたりすることは、その方の生活の質を保つことにつながります。
 また、病院ではあまり食事がとれなかった方が自宅 に戻られたら、好みのものを食べることができる場合もあります。入院中は病人らしく過ごしていても、家に帰ると家庭人になって、近所の方といつものようにおしゃべりしたり、自分でやりたかったことを片付けてほっとしたりすることもあります。
 王子生協病院の緩和ケア病棟では、入院後自宅に戻られ、ある程度自宅で過ごしてまた入院し、また自宅へ戻られる方もいらっしゃいます。具合が悪くなったら緩和ケア病棟に入院できるということで大きな安心感をもっていただいています。また、入院後、最終的には自宅で最期を迎えることを選択される方もいらっしゃいます。その人がその人らしく生きることを尊重し、希望を最大限に叶えようと働きかけるのが緩和ケア病棟なのでないかと思います。