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身につけると楽になる~レジリエンスを高めて~

2024/07/24 東京ほくと

身につけると楽になる~レジリエンスを高めて~

公認心理師/社会福祉士 坂東 信光(組織部)

 

 複雑化した社会や多発する大規模災害など、現代人はストレスにさらされやすい状況にあります。それに対し昨今、レジリエンスという概念が注目を集めています。
 もともとは物理学用語で「外圧を跳ね返す力」を表すものです。心理学的には「(ストレスからの)精神的な弾力性、回復力」と訳されます。レジリエンスはストレスに適応するために個人が持つ回復力です。
 多くの人が生活の中で大切な人との別れ、学業や仕事での挫折などのライフイベントを経験します。そして、事件・事故や大規模災害といった予期せぬ出来事との遭遇があるかもしれません。
 人は、困難な状況におかれるとストレスがかかります。ストレスの高い環境におかれた際、ほとんどの人が何らかの心の傷を負って一時的に心が不健康な状態になりますが、それを乗り越えやがて適応していきます。重篤な病気や障害に至る人は一部です。
 回復力には個人差があり、個人の資質や能力(自尊感情や問題解決能力への意欲が高い、楽観的など)が影響します。潜在的に誰もが備えている能力です。
 レジリエンスは、環境や学習によって獲得していくものという捉え方もあります。自尊感情や自己肯定感は、成功体験や周りの人からの承認によって高まります。
 そして、周りへ援助を求めることや大きな社会的ネットワークを持っていることは、自己回復力に良いことだとされています。家族や友人とのつながりの中で起きる有形無形の程よい恩恵(物質的な支援、寄り添い、共感的態度など)がレジリエンスを高めます。
 ストレスには一人で対処するのではなく「援助を求める力」を身につけることが大切です。心理学者のボナンノは「回復力に関する誤解の一つは、独力でやり遂げるものだという信念だ」と述べています。
 社会的孤立はレジリエンスを育まないばかりか、心身の健康への悪影響も指摘されています。レジリエンスは回復(結果)までの過程が大切です。困ったら人を頼り、サポートを受け入れましょう。
 日本を含む東アジア文化圏の人々は欧米文化圏と比べ、他者との協調性の中に自分の本質を見出す傾向が強いとされています。人とのつながりや関わりの中で得た学びや気づきからレジリエンスが形成されていきます。日頃からつながりを構築しておくことは、いざというときに自分や他者の心の支えにつながります。
 最後に、アメリカ心理学会が発表している「レジリエンスを身につけるための10の方法」を紹介します。心の健康に向き合う際の参考にしてください。

APA(アメリカ心理学会)
「レジリエンスを身につけるための10の方法」

①人間関係を構築すること
 家族、友人、重要な他者との間の良好な関係を築く
 あなたをケアしてくれる人や、あなたの話に耳を傾けてくれる人からの援助を受け入れることは
 レジリエンスを増大させる
②危機を乗り越えられない問題として考えないこと
 ストレスに満ちた出来事自体を変えることはできないが、出来事の解釈や反応は変えることができる
③変えられない状況を受容すること
 変えられない状況を受容すれば、変えられるであろう状況に注意を払うことができるようになる
④目標を立てて、それに向かって進むこと
 たとえ小さなことであっても、定期的に何かを行えば、最終的な目標に到達できる
⑤断固とした行動をとること
 問題やストレスから逃避することなく、困難な状況でも断固とした行動をとることによって、
 かえって解決は近づく
⑥自己発見の機会を探すこと
 努力してもうまくいかないことはある
 そのような場合でも、自分自身について何かを学び、成長する機会には必ずなる
⑦肯定的な視点を涵養(かんよう)すること
 問題解決に関する自信を深めることは、レジリエンスを身につけることにつながる
⑧長期的な視点を維持すること
 苦痛に満ちた出来事に直面しても、できるだけ幅広く長期的な視点を持つように心がける
⑨希望的な見通しを維持すること
 楽観的に考えて、希望を視覚化すること
⑩自分自身を大切にすること
 自分の希望や感情に注意を払い、楽しくリラックスできる活動に参加すること

 出典:「臨床心理学」第17巻5号(2017年9月)金剛出版

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